まえがき

今まで多くの半身麻痺自宅療養生活者(脳いつ血原因)を診てきた。

退院した時は何とか歩いたり、座って食事も可能であったが、次第に体が固くなり今では家から一歩も外へ出たことがないという人が多い事に、大変な気の毒さと、知識の無さが招来した結果に、何とかしなければいけないと思い本書を出版する気に

なった。くも膜下出血は、死亡率が非常に高く、若い年代、つまり40才
台に最も多く発生する。この年代は男性の働き盛りであり、また一代で自分の社会を築いたり、店を持ったり、あるいは会社内で人一倍の努力で課長、

部長の地位を手にした人に多いのである。幸にして発作が生じた直後の処置が適切で生命を失う事からは免かれても、後の社会生命を断たれた、植物人間的生活が待ち受けている。

私が手がけた多くの自宅療養者で、運良く早期から治療開始を行う機会に遭遇した方は、自分では半身まひという状態を強く意識しなくて済む程の回復を示している。
反面残念な事に自宅養生に切替えた後も退院時教わった方法を忠実に守り実行し

ていた人に、体が固まり、枯木が横倒ったような状態となってしまっているか、ロボットが動くような極めて不自由な、不自然な動きしかできない状態になってしまっている。

このことは、退院後は養生訓練者及び介助者である家族(特に伴侶)が自分で勉強し、リハビリテーション訓練なり、社会復帰の準備について努力しなければならないが、それをやっていないことによる。(通常退院時点の状態に適応した指導を行う)

また、リハビリテーション訓練に関する書物も数多く出版されているが、相当の専門知識を有した人に理解できる内容か、単なる看護方法の記載である。それ由、患者さんや家族の言葉が示すように、何をどうやるのがよいのか、順序が分らないし、ま

た本の通り実施していても、本人が痛いと言えば止めてしまい、悪くするよりはそっとしておいたが無難だろうと思うようになって次第に病院で教わった内容
の事も立ち消えになってしまう。

本書は、実際の患者さん治療をモデルにして、その家庭内での訓練方法は勿論のこと、生活上の事や、考え方、心構え、接し方など直接治療とは関係ないと思えるが、長い間には影響を及ぼす事柄についても言及し、専門用語を避け平易に言い廻

すことに努力した。更に訓練時の着眼点についても、患者さん側が疑問として発し
た内容に答えるようにした。自分の状態を観察して、どの部分から進めてゆけばよいのか判断し実施されることを希望している。

きちんとやれば立派に回復するのを、知らなかった為に駄目にしてしまったと後悔することがないよう、一度倒れても転んでも気丈に起上り再び力強く人生を歩んで行って欲しいと願っている。

往々にして、倒れた人の中では周囲の激励や努力にもかかわらず、人生を捨ててしまい自己努力を怠る患者さんを見受ける。このように悲しい事にならないよう、元気づける意味でも本書を参考にしていただきたい。

尚、第一巻の「自律神経活性療法」を読了後が理解しやすい部分もある。
家庭でも利用することが容易なように、文字を大きくし図と説明を見開きにし一覧性を持たせた。
あとがき




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